第35回日本ニューロモデュレーション学会 [Japan Neuromodulation Society]

会長挨拶

吉野 篤緒

第35回日本ニューロモデュレーション学会

会長 吉野 篤緒

(日本大学医学部 脳神経外科学系神経外科学分野)

この度、第35回日本ニューロモデュレーション学会を2021年5月8日(土)の日程にて、都市センターホテルを会場とし開催させて頂く運びとなりました。これもひとえに皆様方のお力添えの賜と心より厚く御礼申し上げます。

“ニューロモデュレーション” という用語は、治療の対象とする神経機能異常に関わる神経局所を直接的に電気刺激ないしは薬物により調節する医用工学技術の総称であるが、そのままその技術を用いた “治療”の総称としても今日一般的に使用されております。これは、工学技術が治療に直結する領域であり、ひいては技術の発展が治療の進歩に密接に関わっている分野であることを示しているためと思われます。近年の“ニューロモデュレーション”技術の進歩と呼応するように、その対象となる臨床領域も急速に拡大しており、脳・脊髄などの中枢神経から、末梢神経、自律神経に至る様々な機能異常による様々な疾患(不随意運動、神経障害性疼痛、認知機能障害、うつ病、強迫性障害、てんかん、排尿・便機能の障害、消化管運動障害、末梢循環障害)に、既に治療の手を広げています。

近年のデバイスの進歩も著しく、脳深部刺激療法においては、電極ならびに刺激システムの発展により刺激の空間的調節性が格段に向上しております。また、脊髄刺激療法においては、バースト刺激や高頻度刺激の開発により、従来よりも高い臨床効果の報告は集積されつつあります。これらの従前からある“ニューロモデュレーション”に加えて、近年では、低侵襲な脳直流電気刺激や非侵襲的迷走神経刺激など、あらたなオプションが発展の途上にあります。本学会は、ニューロモデュレーション治療の領域における最新の知見を議論し、本邦の医療の発展に寄与しうる大変に有意義な会であると考えております。

今般大流行のCOVID-19 の状況に応じて開催方法の変更を余儀なくされることがありますが、可及的に多くの皆様が参加されるとともに活発な議論ができるよう準備を進めているところです。コロナ禍の中ではありますが、after outbreak of COVID-19 におけるニューロモデュレーションの発展の歩を緩めないためにも、多くの皆様の参加を期待しております。